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続・膝枕


 ――他人振り見て我が振り直せ、と言うわけでもありませんが、

 誰かの甘える様子を見たりして、それは唐突に感じたりすることも――














 ・ある風祝(+α)の場合




 最後の一針を通し慎重に糸を結んで余った部分をちょんと切る。
 氷精の小柄な体躯にあわせたそれを目の前に広げると、店主は満足気に一息ついた。
 短時間で一から仕立てたにしては上々の出来である。後は穏やかに眠り続けるこの氷精をどう起こすか
と考え始めた時店主の膝を枕に眠る氷精がちょうど寝ぼけ眼を擦りながらむくりと身を起こした。

 「良く眠れたかい?」
 「んー…………あ!」

 店主の持つ仕立てたばかりのワンピースに気が付いたところでがばっと立ち上がり、引きずるように着ていた
半纏をそこら辺に脱ぎ捨てると店主の手の中からそれをひったくる。
 その事に店主が小言を言おうと口を開く前に服を着込むとたちまち上機嫌になり、その場でくるりと一回転。

 「似合う!?」
 「ああ」
 「えへへー」

 にこやかに短く告げた店主への照れ隠しか、はたまた単に嬉しいのか氷精はふよふよと辺りを飛んで
くるくる回る。
 やはり子供だな、と笑う店主。
 一通り喜びを表し終えて満足したのか氷精は店主の前に降り立つとはにかみながら口を開き、

 「ありがとね」

 それだけ言って身を翻した。年頃の少女らしい可愛げのある仕草にそのまま見送ってしまいそうになった店主が、慌てて氷精を引き止める。

 「待ちたまえ、まだその服の対価を貰ってないよ」
 「あたしお金なんか持ってないよ」

 悪びれず、と言うよりは少々偉そうに氷精が返した。しかしそんなことは百も承知とばかりに店主は動じない。

 「だろうと思ったから、元よりそのつもりはない。 ……ところで、君は夏でも元気に飛びまわれるそうじゃないか」
 「何だかよく分かんないけど、まあね。 なんたってあたしはさいきょーだからね!」

 何が根拠か知らないが、氷精は腰に手をあて踏ん反り返る。

 「わかったわかった。 代わりと言っては何だが、夏になったらここに遊びに来てくれないか?」
 「そんなことでいいの?」
 「ああ、十分だ」

 冬の厳しい幻想郷とて夏の暑い事に変わりはないが、その日差しの中でも平気と言うなら店内の暑気払いくらい軽いものだろう。
 外の世界では夏の熱気を退けるために大層な機械を作ったそうだが、こと幻想郷に於いてはこれこの通り、僕くらいにもなれば少々の知恵と腕を振るうだけで事足りる
 恩恵に与れるのは暫く先だが、実際服一着を仕立てた見返りとしては十分だ。
 む、服と言えば気になることが一つ。

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テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

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ネットの片隅で主に東方Projectの二次小説を書いている小物。
その癖同人に手を出そうとしたり生放送したりと割りと生意気。

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