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この月夜に乾杯を サンプル

この月夜に乾杯を・表紙
 パタン、と些か乱雑に読みかけの本を閉じると、霖之助はそのまま台の上に投げた。
 特に邪魔が入る訳でもないのに何となく文章が頭に入ってこなくなったからだったが、
栞を挟むのを忘れた事に気付いて更に眉間の皺が深くなる。
 思わず何の罪も無い本の表紙を睨みつけ、そこへ落ちる淡い光で漸く違和感の原因を知る事となった。
「ああそうか、今夜は満月か」
 振り仰いだ窓の外には青白く光る満ちた月。
 来客も無く静かなままだった店内は、いつの間にか点けたはずの灯りも消えており、窓からの
煌々とした月明かりに頼りなく照らされてるだけとなっていた。
 普段ならとても本など読める明るさではなかったのだが、今の彼にとってはそれで十分であった。
 陽の気の象徴たる太陽が沈んだ夜はそもそも主に妖怪の活動する時間であるが、こと陰の気が燦々と
地上に降り注ぐ満月の日は妖怪達が活性化され、その気配に当てられてか人でさえも心がざわつく。
 当然人間と妖怪のハーフである霖之助もその例外ではなく、普段より夜目が利いたり気分が高揚する程度だが、
やはり影響を受けるのだ。
 ちなみに、自ら進んで語るような話題でもなく、またその機会もなかった事から、それを知る者は意外と少なかったりする。
「良い月だな……ふむ」
 暫し無言で月を眺めていた霖之助は誰にとも無く一つ呟くと徐に席を立ち、奥の住居部分へと入って行った。

 夜半の香霖堂にガタゴトと騒がしく物を動かす音がする。
 ただ、それを聞く者は当の霖之助以外に居ないのであるが。


         ◆ ◆ ◆

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ネットの片隅で主に東方Projectの二次小説を書いている小物。
その癖同人に手を出そうとしたり生放送したりと割りと生意気。

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